人生劇場紙芝居の感想をいただきました。

先日、2月27日(土)に開催した、『人生劇場紙芝居』の感想をいただきました。

『人生劇場紙芝居』とは、しゃくなげ荘の利用者の方の戦争時の話や終戦後のお話を紙芝居にして地域の方、児童や学生に披露し物語を後世に繋いでいこう。という事業です。

紙芝居は、東京都公認ヘブンアーティストでプロ紙芝居師の三橋とらさんが、昨年6・8・11月に来荘された際に、利用者の方のお話を取材して作成して頂きました。

川﨑時治様

『最初はあの当時のことを思い出すのはつらいなぁと思ったよ
忘れよう忘れようと思ってきたから・・・。
だけど、今回僕の戦争体験や思いを人に話しをして、しっかり聞いてもらっていたら暗くて、重い気持ちがあったけど、晴れ晴れしたな。明るい気持ちになれたよ。

それに、何より施設長の「戦後70年、今、戦争体験をお話しできる方がいない。時治さんの満州からの引き揚げや中国人にお世話になったお話をこれからの子供達に語りつづけていきたいんだ」という、という言葉に「よし、やらなきゃな!」という気持ちになったんだよ。

16歳で満州にいき、17歳の時に終戦を迎えた。
終戦後は、ソ連軍がせめてきて一網打尽に鉄砲を撃ってきてな・・・かなりの日本人が亡くなったよ。必死に逃げてきて仲間とははぐれ、運よく中国人夫婦に助けてもらって1年間一緒に住まわせてもらったよ。18歳の秋に故郷和歌山に帰ってきてまじまじと戦争の恐怖を感じたよ。旧友が、右足がなかったり、左腕がなかったり・・・

私は、ケガ一つしないで今までやってこれた。これが何よりだと今は思っているよ。本当に、中国人夫婦には、助けてもらった。ありがたかったよ。』

と涙ながらにお話ししてくださいました。
何か伝えたいメッセージはありますか?と聞いたところ・・・

『同じ人間同士、広くて大きな気持ちを持って、多少のことがあっても腹を立てず
我を通すんじゃなく、相手の気持ちもよく知りあっていけるのがいちばんいいな。
国民同士、家族、友人同士全てにおいてそういえるんじゃないかな』

と、心に響くメッセージをいただきました。

東原美枝子様

自分の人生が紙芝居になるなんて思いもしなかった。
自分の人生(経験)を話すのは、最初ははずかしかったけどとらさんの紙芝居を見て覚悟を決めました。話をしてるうちに、いろいろ思い出して、今もどんどんいろんなことを思いだしてますよ。

樺太から引き揚げてからが、一番大変だったのよ。食べれるものはないし、お金もないし。みんなで働いて働いて助け合ってなんとか暮らしてきました。

人生は長いようで短いのよ。あっというまよ。
みんな大人になるし歳をとるの。媚びることはない、恥をかいてもいい、
まっすぐ生きてほしい。
周りの人には感謝して、助け合って、親や先輩の話をよく聞いて

生きていってほしい。って、いつも思っているし、子供たちにも話をしているのよ。

三橋とらさん

家で、紙芝居の稽古をしていて、思い浮かべたのは、時治さんと美枝子さんのお顔でした。
ご本人が、この紙芝居を見て、どう思われるだろうか…と。
もしかしたら「こんなの違う!」ってご立腹されるんじゃないだろうかとか、
私の主観で描いてしまったんじゃないだろうかと。
でも、嘘っぱちな物語ではありません。
お二人のおはなしを聴いて、作ったんだもの。
だったら、わたしが時治さんと、美枝子さんに「なりきって」演じよう!
10年くらい劇団にいましたので、演じることは大好きです。
とにかく、この作品を、お客さんに「届けたい」それだけの想いで本番に臨みました。

この紙芝居を作成中、
脚本に行きずまったり、絵を描くのにしんどくなったりしたときは、写真を眺めました。
時治さんと、美枝子さんの写真を。
作業机の横に、常に置いておいて、疲れてくるとそれを眺めて自分の志気を高めたのです。なんせ、紙芝居は全部で65ページもありますから気の遠くなる作業です。
でも、その一枚一枚が、時治さんと美枝子さんの人生なのです。
写真ってすごいですね。本当に元気がでるんです。
戦争に行った兵隊さんが、家族の写真を胸ポケットに入れておいて、戦場でよく眺めてたという話を聴きますが
ああ、こんな気持ちなのかなぁ…と思いました。
「早く、鹿追に帰って、この紙芝居を上演するぞ!」そんな気持ちでした。

本番で、目の前に、ご本人お二人が並んで座っているのを見て
「なんて幸せなんだ!この作品をご本人が見てくださっている!!」って、もうそれだけで感無量というか、泣きそうになりました。

演じ終わって、この作品は、わたしの一部になりました。
お二人にお会いして学んだこと。
戦争のご体験、命の尊さ、家族の大切さ、そして、お腹いっぱいにごはんが食べられることの幸せ…

今、当たり前のようにあるものたちは、
美枝子さんや時治さんやその世代の方々が、わたしたちの世代に残してくれた財産だったんだなぁと感じました。
この意思を、引き継いで、後世に残してゆかなければと。そう思いました

人生劇場紙芝居って?

しゃくなげ荘の利用者の方の戦争時の話や終戦後のお話を紙芝居にして地域の方、児童や学生に披露し物語を後世に繋いでいこう。という事業です。

紙芝居は、東京都公認ヘブンアーティストでプロ紙芝居師の三橋とらさんが、昨年6・8・11月に来荘された際に、利用者の方のお話を取材して作成して頂きました。

紙芝居師 三橋とらさん来荘のようす

紙芝居乃とら屋 http://kamishibai-tora.com/